2017年から生徒がチャレンジを始めてはや6年目。
〜師が委員を務める「栃木県美術作家連盟展」〜
7年程前に会員推奨を頂き、その翌年からのスタートだと記憶しています。
四季を問わず頭の片隅に常にその目標を置き、時が近づけば少しずつ形へと写し出す。
形に悩み、配置に悩み、色に悩み、自分に迷う。
その心持ちは年賀状制作と似た感がありますが、異なる点は毎年開催月が違う事、
そして審査の対象という事だろう。
審査の対象とはいえ、僕自身は師に
「いいもの染めたね!」
と言われるのが何よりの一等賞であります。
ただ、やはり生徒には頑張った分のご褒美をあげたい。
だから毎年その時が訪れると檄を飛ばし、厳しい態度も多くなる。
2017年から参加の生徒は御年7◯歳。
本当に毎年よく頑張って下さいます。
そんな県展チャレンジに今年は新たに1名が制作に加わりました。
民藝(みんげい)に興味を持ち、
先の下平清人展に足をお運び下さった事がきっかけで染め教室へ。
歴はまだ1年程と浅いのですが、前職がグラフィックデザイナーとあり
何やら新しい風が吹きそうな予感。
初挑戦にしては過度な課題となりましたが、8日間の工程を経て
無事にやり遂げてくれました。
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ずっと想い、育てた図案を用い、型を彫る。
その図案は型紙が抜けていく度に成長し、いつしか自分の想いが形として誕生する。
糊(のり)を置き、色を挿(さ)す。
限りある絵の具(顔料)の種類に配色の妙が欠け、自分に戸惑う。
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これだけの苦悩の先に誕生する美しい布があります。
技術が至らぬ点や未熟な表情が見えるかも知れませんが、
僕にとっては
"手の際を鉛筆の擦れで真っ黒にし描き上げられた図案"
"リズムよく活き活きと彫り進められた型紙の線"
"緊張の連続の中にある糊置き、その空気"
そして地色を染める刷毛のとてつもない重み。
それら様々な工程を経て辿り着く先。
その美しい布の裏にはこれだけ多くの汗があります。
人の想いと人の労をたくさん吸い摂った布。
それはやはり素直で美しいんですよね。
今年も生徒が美しい布を生み出してくれた事に感謝致します。
〜 了 〜