2015年5月4日月曜日

絣〜kasuri〜



経糸(たて)と緯糸(よこ)で織り成す世界。


〜絣(かすり)〜


絣の技術はインドで生まれたとされ、タイやカンボジア、インドネシア、ベトナムなどの東南アジアを経て、日本には琉球経由で伝わったとされている。

その技法は糸を染め分ける作業から始まる。

経、緯、あるいは両方、染めない部分(柄)を何らかの方法で防染し糸を染色する。


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「手括り」

水に浸したアラソウ(麻を蒸して剥ぎ取った表皮)で硬く括(くく)ります。
乾燥したアラソウは縮み、糸をさらに締め付けます。

「機械括り」

機械を左右に回転させながら動力で糸を括っていきます。

「織締」

柄の細かい絣糸を作る際には括りではなく、織締という方法を用います。これは糸を機にかけ、製織の時のように糸を織り込み防染します。括りの場合は柄と柄の間隔が近すぎると括りが弱くなり、染料が染み込むため細かい柄を作る事が出来ません。織締はおよそ1ミリの柄を作る事が出来ます。

(補足…大島紬の細かい柄を想像してみて下さい。それらが織締の代表作です。織締とは一度織った糸を染色後に解体し、もう一度織る事を意味します。)


*参考文献・久留米絣 &Wikipedia


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経糸と緯糸が交差し、浮かび上がる文様の美。

白に抜かれた図案が美しいかと思えば、それは地の色が映えさせている事に気が付く。

ふと、それから目を外すと、脳裏に焼き付く白の印象。

やがて優しく、ふわっと消えてゆく。

それは染めの味ではなく、絣の味。

決して華やかに主張するのではなく、「どうぞ。どうぞ。」と遠慮気味に語りかけてくる。

それはもしかして、「もったいない。もったいない。」と言うおばあちゃんの姿と重なっているのかもしれない。

そんな優しさが絣にはある。

そしてそれが、民の本来の着物の姿かもしれない。


表裏一体(海外にはそうでない絣も存在します)であり、緻密で繊細な日本人らしい発達を遂げました。

図案、絣の設計から染色〜織りへ。

その工程を想像すると見えてくる作者の努力、労力。

その汗の結晶が技術へと昇華しました。

それは、それこそは間違いなく世界に誇れる日本の絣の技術です。



〜 kasuri  japan 〜



先人たちへの敬意、日本の誇りを持って、今日もこの子達を愛でています。




「作州絣(さくしゅう)」岡山県




「備後絣(びんご)」広島県




「石ずり絣」群馬県



絣の美しい息遣いが僕には聞こえる。



*日本三大絣…伊予絣・久留米絣・備後絣








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